独逸支部.17 マインツの冬 – 無外流居合兵道 頌寶塾

「逍遊録」

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独逸支部.17 マインツの冬

2013年最初の独逸支部便りは「マインツの冬」をお届けします。

マインツの冬は他のドイツの都市と比べると比較的過ごしやすいそうです。といっても寒がりの私にとっては一年の中で一番厳しい季節です。また冷たい空気で喉を痛めることもあります。街を歩いていても日が短いため、朝に家を出る時は真っ暗、日中はどんよりとした雲に覆われているので薄暗く、帰宅する時にはもう真っ暗と、なにしろ暗いので気持ちまで滅入ってきます。冬は私にとって「寒い・暗い・憂鬱」と三拍子そろったネガティブな季節です。クリスマス市はちょっとした良い気分転換にもなりますが、やはり気は晴れません・・・

そんな冬を蹴散らしてくれるのは、なんといっても「居合道の稽古」です!

某大学でアメリカンフットボールと格闘技の指導をしているAさんから「日本の武道である居合道を是非体験してみたい。稽古をつけてくれないか?」というオファーがあり、稽古会をすることになりました。今回はその模様をお伝えします。

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会場は体育科の学生達がバレエやダンスの授業を受けている体育館です。床はそんなに固くなく、快適で広さも十分!また、壁に沢山の鏡が備え付けられているので、居合の稽古にはもってこいです。

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基本稽古を一通り終えた後、今回のテーマの一つである「切っ先下がりに構えて真向に斬る」を重点的に稽古。集中し丁寧に稽古をしていても自分の意識と実際の切っ先の位置のズレはやはり出てしまうもの。鏡を見ながらそこを調整してもらいます。

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体育館を何度も往復しながら鏡を使って切っ先下がりの位置を確認していきます。同じことを繰り返すと大抵は集中力が落ちてくるものですが、参加した皆さんは幸い飽きっぽい性格ではなく「出来ないことが出来るようになる」ということに喜びを見出すタイプの人達でしたので、粘り強く一所懸命に稽古していました。

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さて、次は「太刀打之形」にはいります。

はじめは呼吸を合わせながらゆっくりと稽古をしてもらいます。なかなかタイミングが合わず苦労していましたが、だんだんと呼吸をつかんできたようです。

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呼吸が合い、手順も覚えた後に細部に焦点を絞ります。今回特に気をつけたのが「初太刀の切っ先の位置」です。コントロールが難しく、何度も修正しながら稽古に励んでいました。

稽古会の後Aさんが「刀をコントロールすることが如何に難しいかが分かった。もっと静かで簡単そうに思えたけど、そんなものじゃない、これはもっと何度も稽古をつけてもらわないと・・・」と疲れた顔をしながらも嬉しそうに話してくれました。

今年のマインツの冬は、クリスマスまでは暖かく、年の瀬から急激に寒くなりました。また例年以上に雪が降ります。春が待ちどおしいです。次回の支部便りでは春の息吹もお伝えできればと思います。

text by 間心(頌寶塾ドイツ支部長)
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