独逸支部.35 切紙伝授式 – 無外流居合兵道 頌寶塾

「逍遊録」

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独逸支部.35 切紙伝授式

今回の武録では2024年10月と2025年3月の一時帰国についてご報告します。

2024年は3月にも一時帰国をしていました。その時の模様は『支部便り32』と『2024早春 ドイツ支部長の一時帰国』にてご紹介しました。

1年に2度帰るのは現在の私の立場では簡単ではありません。しかし3月に「稽古不足」を痛感し、それを補えるのは、直接、長沼先生のご指導を仰ぐことでした。そのため、少々の無理をしても帰国するという決断をしました。幸い成田空港着で安めのチケットが手に入りました。以前、成田空港を使ったのは10年以上前です。当時は現在の様に旅行者も多くはありませんでした。様々な手続きを終えて実家へ向かう空港バスに乗ると、既に夕暮れ時でした。

滞在中に久喜で行われた講習会に参加しました。都内の駅で塾の皆と待ち合わせをして車で連れて行って貰いました。久喜の武道場も本当に久しぶりです。

ドイツに戻ってからの稽古に活かしたいと思い、基本稽古で教えて頂いたことを頭に叩き込みます。
稽古の合間に岡崎宗家が様々なお話をして下さいました。一番心に残っているのは塩川宗家との繋がりについてのお言葉です。次世代に技術を伝えていくということに心を砕いておられる様子がひしひしと伝わってきました。

この日は太刀打の講習もありました。ドイツで取り組むことが難しいものの一つが太刀打です。時間が無いというのも理由なのですが、何と言っても「方便としての間合い」や「呼吸」といった感覚的なものを、言葉の壁を越えて伝えるのが難しいのです。

講習会後の反省会では色々と話をしたのですが、やはり話題は「次回の一時帰国」です。私は「来年の春にまた帰国する予定です」と宣言しました。

さて半年後、その宣言の通り一時帰国が叶い、新橋や横浜の道場稽古に参加できました。

長沼先生にご指導頂きました。抜刀時の指の使い方、体重の移動等、多岐に亘り出来なかったことが出来るようになる喜びと、出来ずにそのまま持ち越しになる情けなさが入り混じります。ドイツに沢山の宿題を持ち帰ることになりました。

そして塩川先生の御法要に初めて参列しました。雨と雪が混じる空模様の下、冷えた空気がピンと張りつめていて、何とも言えない雰囲気でした。

御法要の中で切紙伝授式があり、私も頂く運びとなりました。20年以上前に居合道を始めてドイツに留学し、その後地道に稽古を続けてきたものの、なかなか帰国ができない私にこの様な機会を与え、さらに励まして下さった先生方に心から感謝しております。
伝授の際に岡崎宗家からお言葉があり、私はそれを「切紙とは奥の稽古へと進んでも良いといった言わば許可証の様なもので、この許可証を持って更に先へと進むのか、それとも貰ったままにしておくのかは本人に委ねられている」というふうに理解しました。
教えて頂いたことをしっかりと覚えて次回帰国の際に少しでも成果をお見せできたらと思います。

Photo & Text by 間心(頌寶塾ドイツ支部長)

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