独逸支部.31 ドイツ語教員養成講座 – 無外流居合兵道 頌寶塾

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独逸支部.31 ドイツ語教員養成講座

皆さん、こんにちは。

以前、私が大学で留学生にドイツ語を教えていることをお伝えしましたが(支部便り27)、今回はその仕事の中の「ドイツ語教員養成講座」についてご紹介します。

ドイツに長期滞在を希望する人は、通常「統合コース」(Integrationskursインテグラチォーンクァス)に参加する義務があります。ドイツ語はもちろん、ドイツ社会で必要な基礎知識(法制度から女性の社会的地位など)も学びます。こういった学習を通してドイツ社会に馴染んでいくことが求められているのです。

この統合コースは「連邦移民・難民局」(Bundesamt für Migration und Flüchtlinge ブンデスアムト・ヒューア・ミグラチオーン・ウント・ヒュルフィトリンゲ)の管轄であるため、私のように授業を担当する講師になるには当局が認める資格が必要です。

取得方法は、ドイツの大学で

1)「外国語としてのドイツ語」(Deutsch als Fremdspracheドイチュ・アルス・フレムトシュプラーヘ)

2)「第二言語としてのドイツ語」(Deutsch als Zweitspracheドイチュ・アルス・ツヴァイトシュプラーヘ)

のいずれかを専攻し卒業することです。

また、1と2以外の例えばドイツ文学科やイギリス文学科等を既に卒業した後で、この資格を取りたい場合は、「統合コースに対応したドイツ語講師養成講座」を受講するのが一般的です。中学校や大学でドイツ語を教えている人でも、その例外ではありません。実際に受講者の中には日本の高校に相当する学校でドイツ語を教えている人や、大学で英語やフランス語を教えている人達がいます。これからもわかる通り「ドイツ語非母語話者にドイツ語を教える事」と「母語話者にドイツ語を教える事」が明確に区別されているわけです。

さて、私の地元マインツで開催された、その講座の様子をお伝えします。

講座前の空き時間に、リラックスするため散歩をしました。大聖堂まで足を延ばすと、クリスマスマーケットの準備が始まっていました。

講座が開かれる建物と、殺風景なエレベーター。なんだか嫌な予感がしたので階段を使いました。

この教室に16名の受講生が集まります。彼らが来る前にプロジェクターなどの準備に取り掛かります。

講義の時間は14時から21時30分まで。テーマは「授業計画とその実施」です。このテーマは講座の中でも一番難しいと言われていて、生徒達はとりわけ「授業計画の作成」などで苦しみます。6時間以上ありましたがあっという間に終了しました。

消灯し戸締りをします。鉄のシャッターが下りる時にはなんだかいつも緊張します。夜空には月が煌々と照っていました。

さすがに少し疲れたので軽く一杯でもと思ったのですが、翌日の講習も10時から17時30分までの長丁場なので、体力温存のために早々に家路につきました。

ところで、ドイツ語非母語話者の私が、ドイツ語講師養成講座を受け持っていると、色々と興味深いことが起こります。例えば参加者の約8割は敬意を持って接してくれて、有意義で建設的な議論ができるのですが、各コースには必ず2~3人、不信感を抱いて懐疑的な目で見る人達がいるのです。私が初めてドイツを訪れたのは27歳の時でした。私の発音はドイツ育ちの方のそれとはもちろん違いますから、それも原因の一つではあるでしょう。でもそういったアグレッシブな人にも冷静にしっかりと対応できるようになったのは長沼塾長はじめ先生方に稽古をつけてもらったお陰です。武道をやっていて心から良かったと思います。

いつか機会がありましたらドイツの移民政策などについてもお話ししたいですが、次回はマインツでの稽古の模様をお伝えする予定です。

Photo Text by 間心(頌寶塾ドイツ支部長)

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